COLUMN
KING OF PASTA 2024
キングオブパスタを支える地域の絆!活躍する学生ボランティア
COLUMN
2024年05月08日
地域の力を合わせてつくる、キングオブパスタ
多種多様な地域のプレイヤーの力を集め、企画・運営されているキングオブパスタ。そこには学生ボランティアの協力が欠かせません。来場者受付や会場誘導などの「当日のお手伝い」を学生ボランティアが担当してくれていますが、実行委員会に入って色濃く活動してくれる学生もいます。実行委員会内では大人も学生も対等な立場で意見を交わし、よりよい企画・運営に向けて力を合わせています。
前回のコラムではキングオブパスタを支える自治体職員の方々についてお伝えしました。今回は学生時代に実行委員として部門長となり、深く関わってくださった方々にお話を伺います。イベントを共に作り支えた学生の立場から見えた景色や学んだことは何か、社会人になってわかったことも含めキングオブパスタへの想いをお聞きしました。
お話を伺った方々(写真左から)
■ 神漢記 様
・高崎経済大学OB/キングオブパスタ2014 第二店舗部門長
■ 角田莉穂 様
・群馬県立女子大学OG/キングオブパスタ2018 第三店舗部門長
■ 内田斐奈 様
・群馬県立女子大学OG/キングオブパスタ2018 第二店舗部門長
■ 田沼七海 様
・群馬県立女子大学OG/キングオブパスタ2021 第二店舗部門長
キングオブパスタの歴史は学生たちと共に
⸻ キングオブパスタを長年支える力となっている学生ボランティア。今回は過去に学生でありながら実行委員会に入り、部門長を務めた方々にお越しいただきました。皆さんの自己紹介とキングオブパスタに関わり始めたきっかけを教えてください。
神さん 高崎経済大学(以下、高経)出身の神です。学生時代は地域振興や地域活性化に興味があり、地域政策を学ぶゼミに所属していました。地元は青森で、大学に来て初めて高崎パスタを知りました。「パスタで高崎を盛り上げたい!」と考えている街の人たちと関わりたいと思い、2013年と2014年の二年間キングオブパスタに参加。卒業論文も高崎パスタについて書きました。今は高崎を離れ、広島県で警備会社に勤めています。
内田さん 群馬県立女子大学(以下、県女)出身の内田です。私は大学の文化祭「錦野祭」の実行委員長をしており、代々実行委員長がキングオブパスタの実行委員をしていたことから関わるようになりました。2017年から2019年の三年間、今日インタビューに来ている角田さんと共に参加していました。今は東京で営業兼事務の仕事をしています。
角田さん 内田さんと一緒にキングオブパスタに参加していた、県女出身の角田です。「錦野祭」をきっかけに、三年間実行委員を経験しました。今は東京で保険会社の営業をしています。
田沼さん 県女四年生の田沼です。内田先輩や角田先輩と同じく、「錦野祭」つながりでキングオブパスタへ参加しました。2020年はコロナでボランティア活動が中止になってしまいましたが、2021年と2022年の二年間参加しました。
⸻ ゼミや文化祭など、大学が参加のきっかけになっているんですね。実行委員会に携わってみてどうだったか、率直な感想や印象に残っているシーンをお話ください。
神さん キングオブパスタの思い出は「全部楽しかった」の一言に尽きますね。あとは「県女生がすごかった」という印象があります。関わる人数が多いこともそうですが、真面目で気遣いのできる人が多くて勉強になりました。
角田さん キングオブパスタの開催日は毎年「錦野祭」の翌週なので、夏から秋にかけてとても忙しかった思い出があります。社会人になった今振り返ってみると、貴重な経験をさせていただきました。普段何気なく参加しているイベントの裏側にある大変さを知り、想いの詰まったイベントを作ることのおもしろさを教えていただきました。
田沼さん 私はコロナ禍で「スタンプラリー形式」に変更されたキングオブパスタから参加して、昨年初めて「もてなし広場」でのイベント開催を経験しました。スタンプラリー形式の時には現場を見る機会が少なかったのですが、イベントではお客さまの笑顔を見ることができました。「コロナ禍の年も開催を続けたからこそ、この景色を見ることができたんだ」と思うとうれしかったです。
キングオブパスタを通じて地域と関わる 実行委員としての経験がもたらす学び
⸻ 1年かけて学生ボランティアと共に準備を進めているキングオブパスタ。実際にやってみて、難しかったことや苦労したことは何でしょうか。
田沼さん 社会人の方と接する機会が少なかったので、最初はとにかく緊張しました。実行委員の大人の方や出店者に対して、対等な立場として打合せや説明をするのが難しかったです。
内田さん 私は大学三年生のときに起こったトラブル対応が大変でした。当時、私は実行委員として学生をまとめる役割だったのですが、イベント当日に学生の一人から「体調が悪い」と相談がありました。同世代の学生ですが、私は部門長という責任のある役割なので、周囲に相談しながら臨機応変に対応することを考えました。周りの人に助けてもらいながら、責任感を持って行動できました。
角田さん 私は10周年の時に苦労した思い出があります。部門長として初開催となる10周年特別企画のパスタ以外の飲食を販売するブースが並ぶ「もてなしリストランテ」を担当し、イベント本番に向けて準備を進めました。前例がない中で動くことも難しかったのですが、出店者の募集が特に大変でしたね。実行委員のメンバーと共に市内店舗へ足を運び、丁寧に説明して出店をお願いしました。話をしたことで二日間イベントに参加してくれるお店もあり、とてもうれしかったです。
⸻ 地域の有志が集まって作り上げるキングオブパスタ。学校外の活動ならではの学びがありましたら教えてください。
神さん 名刺を持って店舗へ挨拶に行ったり、説明会の資料をつくったり、普通の学生生活では体験できないことをたくさん学ばせていただきました。僕はインターンを経験するよりも、キングオブパスタに参加する方が力がつくのではないかと思います。それくらい、社会で必要な力や学びが得られる経験でした。
内田さん 私も、書類の作り方や会議の進め方などの社会人経験をさせてもらったことが印象に残っています。それからイベント運営の方法を見て学び、「錦野祭」に役立てました。実行委員の皆さんの振舞い方やお客さまへの接し方など、とても参考になりました。
⸻ 「インターンのような経験」ということですが、実際に社会人になってみて、学んだことが活かされるシーンはありますか?
神さん 実行委員には経営者や管理職の方が多いので、学生のうちにそうした立場の方の考え方や接し方に触れられたことが、社会人になった今の自分に役立っていると感じます。
内田さん 私は営業の仕事を始めた時に、ボランティアで学んだビジネスマナーに助けられました。また、実行委員の大人の皆さんへプライベートな相談やざっくばらんな話をすることができたので、年上の方とも打ち解ける力がついたような気がします。
角田さん お二人と被るところもありますが、大学で同世代の友だちや先生と関わるだけだった私にとって、キングオブパスタは幅広い世代・職業の方とのつながりの場になりました。社会に出る前にそのような経験ができたことは、今の営業の仕事の力になっています。
田沼さん 部門長の立場を経験させていただいたことで、責任感を持って行動することができるようになりました。また、実行委員の大人の方から人生経験をお聞きしたり、就職活動の相談にのっていただいたり、今もお世話になっています。
仲間であり、父のような存在⸻学生視点で捉えた大人たちの姿
⸻ 皆さんが語るキングオブパスタの思い出には、「実行委員の大人たち」が多く登場してきました。皆さんが学生時代に接したキングオブパスタ実行委員は、どのような存在でしたか。
神さん 皆さん、本当にかわいがってくださって、すごく優しく接していただきました。一方で、会議はとても締まった雰囲気なんですよね。普段の会話や懇親会での楽しい雰囲気とのメリハリがあって、大人になってから切り替えることの大事さに気が付きました。
内田さん たしかに、最初の会議は緊張しましたね。でも、大人の皆さんが雰囲気が重くなりすぎないように気を使ってくださって、スッと入ることができました。また、店舗部門をまとめる責任者の方は学生たちにとって“お父さん”のような存在で、大学の話や恋愛の話、将来の相談など、色々な話を聞いていただきました。
角田さん 社会人になってみて改めて思うのは、実行委員の大人の皆さんは本業がある傍らでキングオブパスタを作っているということ――本当にすごいなと思います。仕事の余暇時間であれだけの大きなイベントを動かすことは、私にはできないです。高崎パスタや地域に対して、熱意と愛情を感じました。
⸻ 出店者である飲食店の方々とは、どのような関わりや思い出がありますか。
神さん 僕は二年連続同じ店舗の担当だったのですが、キングオブパスタをきっかけにお店の方と良い関係が築けたことがうれしかったですね。大学の近くにお店があったので、サークルの皆と食べに行ったり、優勝した年は一緒に喜びをわかちあったり。貴重な関わり方ができました。
田沼さん 店舗の方と関わったのは説明会とイベント当日。キングオブパスタでの成績がお店の知名度に影響するので、説明会では鋭い質問が飛び、出店者の皆さんの本気度が伝わってきました。一方、当日は和気あいあいとした雰囲気で、忙しい中でも学生ボランティアへ声をかけてくださる店舗の方が多かったです。「ちゃんと休憩してね」「うちのパスタ食べてみて」と気にかけてくださって、一緒に楽しみながらイベント当日を過ごすことができました。
角田さん キングオブパスタに出場するために、当日はお店を休みにする出店者の方もいらっしゃいます。それだけ優勝に向けた強い気持ちがあることは、学生ボランティアの私にも伝わってきました。また、出店者の皆さんの自慢の一皿を食べさせていただきましたが、どれも美味しくて驚きました。キングオブパスタに関わることで地元群馬県の美味しいものや素敵なお店を知ることができてよかったです。
これからのキングオブパスタを支える学生たちへ伝えたい想い
⸻ ここにいる3人は当日ボランティアをまとめる役割だったと思いますが、どのようなことに気を付けて活動していたかを教えてください。
内田さん 当日ボランティアの皆さんが困った時に相談にのれるよう、積極的にコミュニケーションをとるようにしていました。おとなしい性格の子には自分から話しかけてみたり、皆のやる気がでるような工夫をしたり。ボランティア同士の関係づくりを大切にしました。
田沼さん 店舗の受付やパスタの配膳といった仕事を、当日ボランティアが持ち回りで進めるために、チャットツールなどでこまめに連絡を取りました。皆が休憩できているか、人が足りていない場所はないかを確認して、全体を見るように心がけました。
⸻ 学生ボランティアの魅力とは何でしょうか。また、皆さんにとってキングオブパスタはどのような存在でしょうか。
神さん これまでの話にあったように、実行委員の大人の皆さんと関われた経験が自分の財産になりました。高崎の街で活動している方は“熱い人”が多いので、「地域を元気にしたい、街をよくしたい」という情熱をもった人と一緒に活動できるところが学生ボランティアの魅力だと思います。
内田さん 学生ボランティアをしてよかったことは、社会人になった今も「お久しぶりです」と声を掛け合えるような人間関係ができたことです。皆さんに再会できる場として、毎年のキングオブパスタを楽しみにしています。実行委員の仲間だけでなく、街のお店や応援してくれる地域の皆さん、そして来場されるお客さんと出会える“つながりの場”に関われることが魅力だと思います。
角田さん SNSを見ていると、遠方からキングオブパスタを目当てに群馬・高崎へ来てくれる方が多い気がします。地元に興味を持っていただくきっかけとなる、大きなイベントだということを実感しています。
田沼さん 今年のキングオブパスタは、家族と一緒にお客さんとして行きました。家族は皆「高崎パスタって美味しいね」と満足してくれました。県内・市内に住む人たちが、地域の魅力を再発見できる場でもあるのかなと思います。
⸻ 学生ボランティアへ参加を検討している学生へ、エールやメッセージをお願いします。
内田さん ボランティアやキングオブパスタに興味があれば、ぜひチャレンジしてほしいと思います。就活にも活かせる経験ができますし、キングオブパスタの場で生まれたご縁から将来の道が拓けることもあると思います。
角田さん 地域と関わることが初めてでも、手厚いフォローがあるので心配しないで参加してみてほしいです。あとは群馬出身の方、大学進学を機に群馬や高崎にご縁ができた方は、ぜひ大学生活の思い出の一つとしてキングオブパスタに参加してみてください。イベントを通じて群馬や高崎をもっと好きになれると思いますよ。
田沼さん 「大学生の今、何かしてみたい!」と思う人は、学生ボランティアでいい経験ができると思います。先輩たちが言うように、キングオブパスタで経験したことは就職活動や社会人になってから活かせることばかりなので、参加して損はないと思います。
毎年、多くの学生が実行委員やボランティアとして参加するキングオブパスタ。
来場者の皆さんからは「運営側のスタッフ」として大人と同様の対応が求められることもあります。大きな役割をこなす姿をみていた実行委員会の大人たち。今回の取材では、元学生の4人のお話を親のような眼差しで聞いていたのが印象的でした。